この物語はフィクションであり、・・・・・

第08話 期待されても?

 やあ、悪いねえ。 仕事で疲れてるのに、こんな所に来てもらって。


 とんでもありません。 社長こそお忙しいのに、私のために・・・


 いやいや。 社長は、忙しいのが仕事だから。 暇じゃあ、会社が危ないよ。


 はあ。


 ところで、早速だけどね、飲む前に話したいんだけど、良いかな?


 結構です。


 まあ、君も聞いていると思うけど、君が関係していた部門を売却することになってね。


 はい。


 こう言っては失礼だけど、他のヤツはどうでも良いんだよ。
 正直な話、『厄介払いが出来て良かったな』って思ってるんだ。


 はあ。


 でもね、君の場合は違うんだ。 
 君の上司からも聞いていると思うけど、君はウチにとって必要な人間なんだよ。


 そう仰って頂き、恐縮です。


 でも彼、あぁ、君の上司ね、彼の話だとヤツラと『一緒に行きたい』ってことらしいじゃない?


 申し訳ありませんが、長年やっておりましたので。 仕事に愛着もありますし・・・


 うーん、気持ちはわからないでもないけど、彼らと一緒に行って何かメリットあるの?


 ・・・・・


 君の方が知ってるだろうけど、彼らは普通の会社でやってけるのかねぇ?


 ・・・・・


 ウチは前からの絡みがあるから、今まで置てただけど、君はどう思う?


 そうですねー・・・


 君が言いにくのも無理ないよ。 昔の上司もいるし、あんまり本当のこと言えないよな。


 ・・・・・


 だけど、これだけはわかって欲しいんだ。 君の評価だけは別だってことを。


 ありがとうございます。


 君も、噂では聞いていると思うけど、例のプロジェクトが決まりそうなんだよ。


 それは良かったですね!


 でね、あれを上手くやるには、是非とも君の助けが必要なんだ。


 過剰なご評価をいただき・・・


 いや、決してそんなことないよ。 彼からも『非常に優秀な人材』だって聞いてるよ。


 そんなことは・・・


 それでね、君も知ってるかもしれないけど彼とは長いんで、『何とかしてくれ』って泣きつかれた訳だよ。


 ・・・・・


 何とか考え直してもらえないかなあ? 決して悪いようにはしないから。


 はあ。


 頼むよ。あのプロジェクトは、君無しではどうしようもないんだ。助けると思ってさ・・・


 わかりました。
 社長にそこまで仰って頂いているのにお断りするようでは、さすがに不義理になりますので・・・


 そうか! わかってくれたか! ありがとう!


 とんでもありません!


 やー、俺も肩の荷が下りたよ。 よし! 今夜はとことん飲もう!


 あの、明日も会社がありますので・・・


 社長の俺が言ってるんだから気にするな! 俺が言ってるんだから2〜3日休んだって何の問題もないぞ!


 ありがとうございます。それでは、お言葉に甘えて・・・


 そうだ! じゃあ、飲るか!


 はい!




 はい、 ・・・・ あー君か。 どうしたんだ?


 ・・・ あー、君の待遇? これでも考えてるつもりなんだけどなー


 ・・・ 話が違う? いや、それはこっちの台詞だよ。 あのプロジェクトさえ決まってればなあ・・・


 ・・・ あのね、君はあのプロジェクトには必要だったんだよ。 わかる?


 ・・・ 悪いけど、君ぃ、今何か会社に大きな貢献してるかい?


 ・・・ そうだろ! それなのに今の待遇に不満なの?


 ・・・ えっ! 必要ないんなら、会社都合で解雇してくれ?


 ・・・ うーん、その件は、彼、君の上司な、彼からも聞いてるけど、

    今は無理だよ!


 ・・・ 約束と違うからって、それは無理だ。


 ・・・ 半年前の部門売却時だったら、問題なかったけど。


 ・・・ 彼は人事にも聞いたらしいけど。

    この時期に、一人だけ『会社都合』にするのは難しいらしいぞ。


 ・・・ 『どうすればいい?』って言われても、俺は何にもできないよ。


 ・・・ 自己都合で辞める? あー、それなら何の問題もないよ。


 ・・・ あっ、そう? じゃあ、早めに辞表出してくれよ!

    どうも、ご苦労さん。



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